チラシの文字

  • 文字をグラフィック要素にしたい

文字は情報伝達の要素ですが、グラフィック要素として扱うこともできます。素材が少なかったり、淋しさを感じるときに重宝します。

  • 表意文字と、表音文字の違い

表意文字である漢字は、表音文字のアルファベットと比べてはるかにグラフィック要素になりやすいという特徴を持っています。グラフィカルな書体を使うだけでなく、文字を部首に分解して、意味を先祖返りさせたり、文字の意味を強調した装飾を施すといった手法もよく使われます。

  • 文字による模様

先ほどの例は多くても数文字に利用する手法ですが、組み方によっては長文を模様のように見せることもできます。いわゆる地紋として文章を使う手法です。

地紋として使う場合は、背景として使用するオーソドックスな方法のほかに、作例のように、全体にオーバーラップさせる使い方もあります。作例では全体を同系の色相でまとめているので、一目では気づきませんが、よく見ると、右上のロゴだけではなく、楽器の部分でも文字を逃がしているのがわかります。これにより、文字が重なっている椅子が背景として見え、文字が重なっていないサックスが浮き彫りになり、主人公であることが明確に伝わります。

このように、文章を模様として使用するメリットは、文字自体は視覚的な意味を持たない点です。例えば、作例で文章でなく、幾何学模様を引いた場合、受け手は模様にどういう意味があるかを考え始め、主人公である楽器を忘れてしまうかもしれません。文章ならば、読めば意味は分かるわけですから、見る側は迷わなくなります。

「レイアウトが寂しいので何か模様がほしいけれど、ぴったりくるような模様がない」といった場合によく使われます。ただし、文字目立ちすぎると、文章の意味への興味のほうが強くなってしまうため、注意が必要です。

  • 文字に感情を与える

フォントはそのエレメントの形状や骨格の厚さなどから感情を感じさせます。例えば骨格の細いフォントは、太いものよりも繊細さを感じるものです、太いフォントには皇室観やエネルギーを感じます。

フォントが持つこういった感情を利用することはデザインの基本といえます。さらにそれを強調するためにフォントに加工を施したり配置を工夫することで、テキストとしての存在を超え、グラフィック要素として成立させることもできます。

作例は、ロックの骨太さや激しさを表現するために極太のフォントを使っています。さらにエッジにざらついた処理を施し、紙面からはみだすように斜めに配置することで存在感を際立たせ、フォントそのままの状態では出せない熱い感情や臨場感を出しています。

  • モノに対して存在感を与える

文字をフォントではなく、モノとして扱うことでも紙面上での存在感が高まります。

作例は、見出しにある、やめるべき6つのことをリストアップして開設した紙面ですが、この数字を通常のフォントで配置したら、説明的で冷たい印象になってしまうかもしれません。ここでは数字のオブジェの写真をリズミカルに配置することで紙面に楽しさを演出しています。

また、このようにものとして扱うと、存在感が高まるので、視線もそれぞれに引き付けられます。散漫な印象になったり、視線誘導がうまくいかないといった事態も避けられるでしょう。

他にも、ノートにてがきで文字を書いて撮影するなどの方法も考えられます。与えられた文字をどう置くかだけ考えているとこのような工夫からは離れがちですが、物足りない時は、必要な要素を自分で考えて作ることも視野に入れてみましょう。